俺は好きなテレビを見ている時に限ってトイレに行きたくなる。
トイレに行きたそうな俺の姿を見て
「トイレ行けば?」
と皆が言う。
でも俺はトイレを我慢して、もぞもぞ体をくねらせながらテレビを見続ける。
いつまでも体を動かしている姿を見て「気持ち悪いからはやくトイレに行って!」と皆が言う。
それでも俺は大好きなテレビが見たいから、体をくねらせ、〇〇〇を押さえて我慢する。
いますぐトイレに行けば、気持ち悪い姿も晒さずにすべてが解決する。
それは分かっている。それはよーく、よ~く分かっている。
だけど、俺はテレビから離れたくない。テレビをずっと見ていたい。
俺はいまトイレに行きたくないのだ。
俺は録画したテレビしか見ないので、トイレに行ったとしてもいい場面を見逃す事はない。
小さな家なので、部屋からトイレがめちゃくちゃ遠いという訳でもない。
リモコンのストップボタンを押してトイレに行けばいいだけの話だ。
だけど、それができない。
テレビをずっと見ていたいのだ。
これを誰も理解してくれない。
さらにトイレを我慢してモゾモゾしながらテレビを見ていると、家族みんなが更に更に気持ち悪いという目で俺を見る。
その冷めた視線は感じている。
だけど、いまトイレに行きたくない!
絶対に行きたくない!
誰か分かってくれ!
と思っていたら近くでモゾモゾしている奴がいる。
カミだ。
カミもお気に入りの場所にいる時はトイレを我慢するのだ。
目をクルクルまわしながら、モゾモゾ、モゾモゾする。
同じだ!理解してくれる友を見つけ喜びを感じた。
それからしばらくて、テレビが終わるのもあと少し。カミもお気に入りの場所で満喫しきった表情を浮かべている。
さぁ、俺達の欲求はもうすぐ終わる!その欲求を充分に満たしてから、トイレに行こうじゃないか!それまでもう少しの辛抱だ!
テレビが終わったぞ!
さぁ、行くぞ!友よ!
そうして俺達はダッシュでトイレに駆け込んだ!
気持ちいい。
「 気持ちいいですね!」