俺の上司がたまにびっくりした感じで聞いてくる。
「坂本君(俺の苗字)、うさぎ飼ってんだって!」と。
うさぎを飼っている人は珍しいみたいだ。
俺「はい、飼っています」
会「うさぎって懐くの?」
「懐きますよ」
「呼んだら来る?」
「来ますよ。気分屋なので来ない時もありますけど」
「うさぎは臭くないの?」
「尿は匂いますが、うさぎは臭くないです」
「トイレは覚えるの?」
「覚えますよ」
「だけど、うさぎは表情がないよね」
「ありますよ!」
「それに犬や猫と比べたら、うさぎって物足りないよね」
「そうですね」
うさぎの事を聞かれると、だいたいこのような会話のやり取りになる。
犬、猫>うさぎ
うさぎを飼ったときもないくせに何故、うさぎが物足りないと思うのだろうか??
めちゃくちゃ可愛いのに。
何も知らないのにうさぎを下に見るのはうさぎ愛好家の俺としては腹が立つが、うさぎを飼った事がない人にうさぎの魅力など分かるはずがないと、こういうことを言われたときは反論せずに黙ってしまう。
こんなくだらないうさぎの会話があった日は、家に帰って必ずうさぎVSヘビの動画を見るようにしている。
なぜかというと、癒されるからだ。( ̄^ ̄)
母うさぎが子うさぎを守るためにヘビと戦う動画。
子うさぎを守るために命を張ってヘビと戦う母うさぎの勇敢さが溢れているこの動画を見ると、改めてうさぎを好きになりイライラした気持ちも収まる。
そんな会話があった日から数日後。
久しぶりに兄が家にやって来た。
久しぶりに会ったせいか、いつもよりたくさん話をしてくれる。
そんな会話の中で兄が
「そういえば竜馬(俺の名前)ペット飼っていたよな?」
「飼っているよ。可愛いうさぎ!」
「あ~、ねずみに毛がはえたやつね!」
「・・・・・」
うさぎと言っているのに何故か兄は「ねずみに毛がはえたやつ」とわざと言う。
それにイラついた俺は
「ねずみじゃねぇーし、うさぎだし!」
と、兄に怒鳴った!
さっきまで温かい雰囲気に包まれていたこの部屋が、一瞬にして凍りついた。
しばらくして兄は帰る準備を始めた。
そして帰り際に俺に向かって
「じゃあ、またな!
ねずみにも、よろしく言っておいて!」
と言って去っていた。
兄が帰り、俺はカミのことが心配になり様子を見に行くとカミはひどく落ち込んでいた。
「ご主人様、僕はねずみなの?お耳の長いねずみだったの?」
「いや、いや違う!うさぎだよ!お耳の長い可愛いうさぎだよ!」
と言ったのだがカミは落ち込んでケージの中に一日中、閉じこもっていた。
それ以来、俺は兄の事を心の底から嫌いになった。