ゴールデンウィーク最終日。
カミは昼寝から目を覚ますと、大きなあくびをひとつした。
そして窓の近くへ行き、気持ちよさそうに座り込む。
しばらくすると、ぼんやり外を眺め始めた。
その顔が妙にキラキラしている。
なんというか、
世界中の悩みと無縁です。
そんな顔だった。
明日から仕事の僕は、その顔を見て思わず笑ってしまった。
人間ならゴールデンウィーク最終日は少し複雑だ。
明日から仕事。
学校。
現実。
そんな言葉が頭をよぎる。
しかしカミには関係ない。
明日も牧草。
明後日も牧草。
来週も牧草。
予定表は真っ白である。
けれど、生きていれば調子のいい日もあれば、そうでない日もある。
それはうさぎも同じだ。
カミだって毎日楽なわけではない。
病気もある。
体調が悪い日もある。
思うようにいかない日だってあるはずだ。
でも、元気な日は思い切り遊ぶ。
おやつがもらえれば喜ぶ。
撫でられれば目を細める。
気持ちのいい場所を見つければゴロンと寝転がる。
カミを見ていると、
「今、楽しめることを楽しむ」
そんな生き方をしているように見える。
人間は明日の心配をしすぎる。
来月のこと。
来年のこと。
失敗するかもしれない未来。
そんなことばかり考えてしまう。
もちろん大切なことだ。
でも、
そのせいで今日の楽しさを忘れることもある。
カミの顔が教えてくれたこと。
あの日のカミは、特別なことをしていたわけではない。
ただ窓際でくつろいでいただけだ。
でも顔はキラキラしていた。
きっと、
「今日は気持ちいいな」
それだけだったのだと思う。
人生を変えるような答えじゃない。
でも、幸せというのは案外そんなものなのかもしれない。
明日を心配しないこと。
今日の気持ちよさを味わうこと。
ゴールデンウィーク最終日、僕はカミの顔を見ながら少しだけそう思った。