ブラッシングをしていた時の一枚。
最初にこの写真を見た時、思わず笑ってしまった。
「左ストレート!」
そう言いたくなるくらい、いいフォームだった。
腕はまっすぐ伸びている。
毛も立っている。
目つきも真剣。
どう見ても、「一発いったる。」そんな顔をしている。
でも実は、この時のカミは戦おうとしていたわけじゃない。
少し怖がっていた。
外でブラッシングをしていたので、
鳥の鳴き声。
カラスの声。
風で揺れる木。
遠くを歩く人。
人間なら気にならないような音でも、うさぎにとっては全部が情報になる。
「今の音は何?」
「近くに誰かいる?」
「危険じゃない?」
頭の中はきっと忙しい。
だから周りを気にしながらブラッシングされていた。
うさぎは弱い動物だ。
野生では食べられる側。
だから、「大丈夫かな」「安全かな」を四六時中考えている。
この写真も、怒っているように見えるけれど、本当は少し緊張していただけなのかもしれない。
人間も似ている。
怖い時ほど強がる。
本当は不安なのに、「別に。」と言う。
うさぎも同じなのかもしれない。
カミもブラッシングは決して好きではなかった。
でも終われば、何事もなかったように牧草を食べ始める。
さっきまで世界が終わりそうな顔をしていたのに、切り替えだけは異常に早い。
そこは見習いたい。
私は仕事で嫌なことがあると、一週間くらい引きずる。
カミは三十秒で忘れる。
完全敗北である。
でも、この写真を見ていて思う。
うさぎは本当に表情が豊かだ。
怒っているようにも見える。
焦っているようにも見える。
「帰りたい」と思っているようにも見える。
見る人によって全部違う。
だから写真は面白い。
一枚の写真から、その日の出来事まで思い出せる。
今でもこの写真を見ると、
「左ストレートだ!」より先に、
「ああ、この日は外でブラッシングした日だったな。」
と思い出す。
鳥の声を気にしていたこと。
終わったあとに牧草を食べていたこと。
そして、頑張ったね。と頭を撫でたこと。
写真って、その瞬間だけじゃなく、その前後の時間まで残してくれる。
だから私は、少しブレた写真も、変な顔の写真も消せない。
その一枚には、カミと過ごした一日が全部詰まっているからだ。
この写真から学んだこと
うさぎは怒っているように見えても、実は怖がっているだけのことがあります。
特に外や慣れない環境では、小さな音にも敏感になります。
ブラッシングを嫌がるときも無理に押さえつけるのではなく、短時間で終わらせたり、静かな環境で行ったりするだけで、うさぎの負担は大きく変わります。
そして飼い主にとっては、そんな必死な姿さえ、何年経っても笑って思い出せる大切な一枚になるのです。