最近のカミは、とにかくよく食べる。
朝ごはんを食べ終えたばかりなのに、ケージの前まで来ては「もうありませんけど?」と言いたげな顔でこちらを見てくる。
「さっき食べたばかりでしょう」
そう返してみても、もちろん納得するはずがない。
しばらく相手にせずにいると、今度はケージをガジガジ。
いつもの「お腹すいたよ」という催促より、今日は少しだけ勢いがある気がした。
最初は、「今日はよく食べる日なんだな」くらいにしか思っていなかった。
でも、その日は様子が違った。
ご飯を催促したと思ったら、ケージの中を走り回る。
急に立ち止まったかと思えば、また走り出す。
落ち着いたと思ったら、またガジガジ。
見ているこちらが「ちょっと落ち着こうか」と声を掛けたくなるくらい、なんだかそわそわしている。
病気……という感じではない。
でも、いつものカミとも少し違う。
うさぎは言葉を話せないぶん、「いつもと違う」は見逃したくない。
だから、しばらく様子を見ながら考えていた。
そのとき、ふと思い出した。
「あっ、換毛期か」
完全に忘れていた。
そういえば最近、ブラッシングをするたびに毛がごっそり抜けている。
春や秋に毛が生え替わるのは知っていたけれど、こうして一緒に暮らしていると、それが思っていた以上に体力を使うことなのだと気づかされる。毛が生え替わるということは、体の中でそれだけのエネルギーが動いているということだ。だから、お腹も空くのだろう。
そう考えると、今日の食欲にも納得がいった。
原因が分かると少し安心して、急いでペレットを用意する。
……ところが。
ご飯を準備している間も、カミは待ってくれない。
ガタン。
ガジガジ。
バタバタ。
「まだかな」
そんな声が聞こえてきそうなくらい、落ち着きがない。
「そんなに動いたら、余計にお腹が空くんじゃない?」
思わず笑ってしまった。
ようやくご飯を入れると、さっきまでの落ち着きのなさが嘘のように、夢中で食べ始める。
食べ終わるころには、あれだけ忙しなく動いていた子とは思えないほど穏やかな顔をしていた。
復活。
そんな言葉がぴったりだった。
換毛期というと、「毛がたくさん抜ける季節」という印象が強い。
でも、カミと暮らしていると、それだけではないことに気づく。
いつもより食欲が増える日があったり、なんだか落ち着きがなくなったり。
体の変化につられて、気分まで少し忙しくなっているように見えることがある。
もちろん、これはカミの話であって、すべてのうさぎが同じとは限らない。
それでも、一緒に暮らしていると、本やWEBには載っていない小さな発見がたくさんある。
換毛期になると毛が抜ける。
それは知っていた。
でも、一緒に暮らして初めて知った。
うさぎは、季節が変わるたびに、少しだけ性格まで変わる。
今日もカミは、お腹いっぱいになって満足そうにくつろいでいる。
さっきまでケージをガジガジしていた子と、本当に同じ子なのだろうか。
そう思いながら見ていると、なんだか少しだけ、おかしくなってしまう。