春になると僕は弱い。花粉である。
鼻は詰まる。
頭は痛い。
目はかゆい。
何もしていないのに体力だけがどんどん削られていく。
毎年思う。
「花粉を飛ばしたやつ、ちょっと来い。話がある。もう少し減らせないか?」
って。
そんなことを思っていた僕の横で、カミは今日も元気だった。
牧草を食べ、
ゴロゴロし、
昼寝をしている。
どうやら花粉という存在を知らないらしい。
うらやましい。
本当にうらやましい。
僕がティッシュ片手に苦しんでいるとき、カミは突然こちらを向いた。
そして、大きく口を開けた。
あーーーん。
である。
思わず笑った。
普通、ここまで口を開けたら変な顔になる。
証明写真でやったら撮り直し確定である。
ところが、うさぎは違う。
なぜかかわいい。
口を開けてもかわいい。
寝てもかわいい。
怒ってもかわいい。
反則である。
たぶん毛がずるい。
あのふわふわした毛が全部ごまかしている。
人間も全身をふわふわの毛で覆ったら少しはかわいく見えるのだろうか。
いや、たぶん無理だ。
そして僕はふと思った。
そういえば、うさぎは花粉症になるのだろうか。
調べてみると、うさぎも花粉症になることがあるらしい。
ただ、人間のように「くしゃみが止まらない」「鼻水が出る」といった症状とは少し違うらしい。
そのため、飼い主が見ても気づきにくいことがあるそうだ。
もしかするとカミも、平気そうに見えるだけなのかもしれない。
とわいえ、少なくとも今のカミは元気に見える。
鼻もスースー。
目もぱっちり。
そして大口を開けている。
僕はティッシュを取りながら思った。
神様は少し不公平ではないかと。
花粉症で苦しむ人間。
花粉を気にせず昼寝するうさぎ。
しかも、かわいさまで持っていかれている。
ずるい。
実にずるい。
だが、そんなカミを見ていると少しだけ気持ちが楽になる。
鼻は詰まっている。
頭も痛い。
でも、目の前ではうさぎが全力で「あーーーん」している。
それだけで少し笑える。
花粉症は治らないけれど、笑うことはできる。
僕にとっての春というのは、案外そういう季節なのかもしれない。