もう嫌になった、なんてことはあると思う。

会社で怒られたり、恋人に裏切られたり、別れたり。
理由はどうであれ、心が削られる瞬間は突然やってくる。

そういうとき、なにもできないような気分になる。

体は動くのに、頭の中だけが止まってしまって、「なんで自分だけこんな目にあうんだろう」と同じことをぐるぐる考え続ける。

で、気づけば、まわりと比べている。

あの人は仕事ができる。
あの人はモテる。
あの人はうまくいっている。

それに比べて自分はどうだ、と。

本当は同じ土俵に立っているわけでもないし、その人の全部を知っているわけでもないのに、なぜかその比較だけはやけにリアルで、気づいたときには、自分が一番下にいるような気分になっている。

この狭い環境の中で比べているだけのはずなのに、なぜか世界で一番つらい場所にいるように感じる。

でも、これって少し冷静に考えると、おかしな構造をしている。

上を見れば、いくらでも上がいる。
どこまでいっても終わらない。

下を見れば、下もいる。

つまり、比べるという行為そのものが、終わりのないゲームになっている。

しかも厄介なのは、このゲーム、やればやるほど自分が消耗する仕組みになっているところだ。

勝っても安心は一瞬で、すぐにまた上が現れる。
負ければただ落ち込むだけで、なにも残らない。

だったら、最初から参加しないほうがいい。

……と言いたいところだけど、それができないから困っている。

人はどうしても比べてしまうし、「気にしないようにしよう」と思うほど、余計に気になってしまう。

だから、自分の中では一つだけ決めていることがある。

考え方を無理に変えようとしないこと。

その代わり、行動を少しだけ変えること。

正直、そんな気分じゃないときに「外に出よう」とか「楽しもう」とか言われても、やる気なんて出ないと思う。

自分もそうだった。

でも、それでいい。

やる気が出てから動くんじゃなくて、動くからあとから気分がついてくることがある。

脳って、意外と後付けで「楽しい」とか「大丈夫」とか判断してくる。

だから最初は、演技でいいと思っている。

楽しいふりでもいいから、少しだけ動いてみる。

コンビニに行くだけでもいいし、少し遠回りして帰るだけでもいい。
それくらいの小さなことでいい。

そうやっているうちに、さっきまで頭の中を占めていたものが、少しずつ薄れていく。

そして、もう一つ。

これは自分に何度も言い聞かせていることなんだけど、

今日が最悪でも、それがずっと続くとは限らない。
明日も最悪だとは限らないし、次の瞬間まで最悪である必要もない。

でも、「自分はダメだ」と思い続けていると、その状態に引っ張られていく感じはある。

だったら、少し雑でもいいから流れを変えたほうがいい。

全部をちゃんとやろうとしなくていいし、正しい選択をしなくてもいい。

ほんの少し、今いる場所からズレるだけでいい。

上司が嫌なら、全部を受け止めなくてもいいし、どうしても無理なら休んでもいいと思う。
恋愛だって、一つの関係が終わったからといって、それがすべてではない。

新しい出会いを探してもいいし、気になった人に声をかけてもいい。

そうやって少しずつ動いているうちに、人は案外、前のことを忘れていく。

ずっと強くあろうとしなくていいし、ずっと頑張り続ける必要もない。

うまくいかない日は、うまくいかないままでいい。

ただ、そのままずっと止まり続ける必要もない。

少し落ち着いたら、ほんの少しだけ前に出ればいい。

それくらいで、たぶん十分なんだと思う。